不動産をお持ちの方がお亡くなりになり、相続が開始すると、その相続人に所有権が移転しますが、その不動産の名義を変更せず、長期に渡って放置していると、相続人に更に相続が発生するなどして、遺産分割協議の参加する方の人数が増え、協議がまとまりにくくなる事があります。
相続登記は、いつまでにしておかなければならいと決まりはありませんが、お亡くなりになられた方の名義のままだと、その不動産を売却したり、担保に入れる事などは出来ません。
以上の理由からも、相続登記は早めに済ませることが良いでしょう。
*不動産登記や相続税の申告等は業務提携をしております司法書士、税理士が行ないます。
相続登記の種類と必要書類
相続に関する登記には、以下の3つのようなケースがあります。
1. 法定相続分通りの相続登記
- お亡くなりになられた方の出生から死亡までの連続する戸籍
- お亡くなりになられた方の住民除票(本籍地の記載のあるもの)
- 法定相続人全員の戸籍
- 法定相続人全員の住民票
- 相続する不動産の固定資産税評価証明書
2. 遺産分割協議による相続登記
- お亡くなりになられた方の出生から死亡までの連続する戸籍
- お亡くなりになられた方の住民除票(本籍地の記載のあるもの)
- 法定相続人全員の戸籍
- 法定相続人全員の住民票
- 相続する不動産の固定資産税評価証明書
- 法定相続人の印鑑証明書
- 遺産分割協議書
3. 遺言書による相続登記または遺贈登記
- お亡くなりになられた方の出生から死亡までの連続する戸籍
- お亡くなりになられた方の住民除票(本籍地の記載のあるもの)
- 法定相続人全員の戸籍
- 法定相続人全員の住民票
- 相続する不動産の固定資産税評価証明書
- 法定相続人の印鑑証明書
- 遺言書(自筆証書遺言の場合は家庭裁判所での検認が済んでいるもの)
また、上記の内いずれも、相続関係説明図を付けると、戸籍、除籍謄本などの原本還付が受けられます。
ケースにより必要となるもの
- 遺言執行者が指定されている場合には、遺言執行者の印鑑証明書
- 特別受益者がいる場合は、特別受益証明書および印鑑証明書
- 調停または審判に基づいて相続登記を申請する場合には、調停調書または審判書( 確定証明書付き)の謄本
- 相続欠格者がいる場合には、確定判決の謄本または欠格者自身が作成した証明書(確定証明付き)の謄本
相続登記の費用
登録費用は相続による所有権移転の登録免許税と、それ以外の費用とに分けられます。
- 相続登記による登録免許税は不動産の固定資産評価額の1000分の4です。
- 遺贈により登記する場合は、1000分の20(相続人以外の遺贈)
- 戸籍や住民票などの相続関係書類の取り寄せ費用
- 司法書士への報酬は、相続人の人数や取り寄せる書類の枚数、不動産の数などにより異なります。
不動産登記や相続税の申告等は業務提携をしております司法書士、税理士が行ないます。
生命保険金を受け取る権利は保険契約によって発生するもので、特別な事情がない限りは受取人の固有財産となり、相続財産には含まれないとされています。
しかし、受取人がどのように指定されているかで分けて考える必要があります。
- 相続人以外の特定の者が保険金の受取人として指定されている場合は、保険契約に基づいて受領するものですから相続財産ではありませんので遺産分割の対象になりません。
- 単に相続人と指定されている場合も、保険契約に基づき保険金を取得する事が出来る固有の権利ですので、これらも相続財産には含まれず、遺産分割の対象にはなりません。ただし、受領額が高額になる時は特別受益の扱いになる場合があります。
- 保険金の受取人を指定していない場合などは、保険約款の「被保険者の相続人に支払います」との条項を受けますので、この場合は相続人と指定した場合と同じになります。
- 保険の契約者と受取人が同一の場合は、お亡くなりになられた受取人の方の相続人が、その地位を相続によって承継し相続財産として取得する考え方と、この場合も相続人の固有財産となる考え方に分かれています。ただし満期保険金については、満期後契約者がお亡くなりになれば相続の対象となります。
◆ 相続放棄をすると、どうなるのか?
死亡保険金の受け取りは相続によって得る権利ではなく、保険契約に基づいた固有の権利として受け取るものです。
したがって、相続放棄をしたとしても死亡保険金を受け取る権利はあります。
また、死亡保険金を受け取ったからといって単純承認したとはみなされ、相続放棄が出来ないといったことはありません。
◆ 保険金に相続税はかかるのか?
相続税法上では、保険金には「みなし相続財産」として課税される事となります。
ただし、非課税部分(500万円×法定相続人の数)はあります。
銀行や郵便局などに預貯金をしている方が死亡した場合、その死亡した事を銀行などが知ると、その預貯金の口座は凍結されてしまいます。
一旦、預貯金が凍結されてしまうと、一定の手続きを経なければ預貯金の払い戻しや、引き落としが一切出来なくなってしまいます。
この手続きは金融機関によって異なる場合がありますので、事前に確認しておく必要があります。
払い戻しの手続き
預貯金の払い戻しの方法は、遺産分割協議による方法と、遺言書にしたがっておこなう方法とがあります。
一般的な払い戻し方法は以下のとおりです。
遺産分割協議の前に払い戻す時に必要な書類
- 金融機関所定の払い戻し請求書
- 相続人全員の印鑑証明書
- 相続人全員の現在の戸籍謄本
- お亡くなりになられた方の出生から死亡までの連続した戸籍謄本
- お亡くなりになられた方の預金通帳と届出印
金融機関によって、手続きのやり方が異なる場合もありますので、事前に確認をしておく必要があります。
遺産分割協議の後に払い戻す時に必要な書類
- 遺産分割協議書(相続人全員が署名押印しているもの)
- 相続人全員の印鑑証明書
- 相続人全員の現在の戸籍謄本
- お亡くなりになられた方の出生から死亡までの連続した戸籍謄本
- お亡くなりになられた方の預金通帳と届出印
金融機関によって、手続きのやり方が異なる場合もありますので、事前に確認をしておく必要があります
遺言書がある場合に必要な書類
- 遺言書(原本の提示)
- 遺言者の除籍謄本
- 受遺者の印鑑証明書
- 相続人全員の印鑑証明書
- 相続人全員の現在の戸籍謄本
- お亡くなりになられた方の出生から死亡までの連続した戸籍謄本
- お亡くなりになられた方の預金通帳と届出印
この他、金融機関によっては、相続人全員の同意書(印鑑証明書付)の提出を求められることがあります。
遺言書がある場合で遺言執行者がいる時
- 遺言書(原本の提示)
- 遺言者の除籍謄本
- 遺言執行者が家庭裁判所で選任された場合はその審判書謄本
- 遺言執行者の払い戻し依頼書
- 遺言執行者の印鑑証明書
この他、金融機関によっては、相続人全員の同意書(印鑑証明書付)の提出を求められることがあります。
株式の名義書換え手続き
株式は、遺産分割協議によって分割されることになります。
したがって、遺産分割協議が成立すれば、遺産分割協議書を添えて、株式発行会社に対して名義の書換えの手続きをおこなう事になります。
上場株式の名義書換え
上場している株式は、証券取引所を通じて取引されていますので、証券会社が介入していますので、証券会社と株式を発行している株式会社の両方で手続きをおこなう事になります。
証券会社は顧客ごとに取引口座を開設していますので、取引口座の名義書き換えの手続きをおこなう事となります。
その際に、必要となる書類は以下のようなものになります。
- 株券(株券が発行されていない場合は不要)
- 証券会社所定の相続による株式名義書換え請求書
- 証券会社所定の相続人全員の同意書
- 相続人全員の印鑑証明書
- 株主票(名義書換えにより新たに株主となる者)
- お亡くなりになられた方の出生から死亡までの連続した戸籍謄本
- 相続人の戸籍謄本
- 遺産分割協議書
株券を証券会社に預けている場合は、その証券会社から株券を出庫した上で、名義書換えするか、出庫はせずに、証券会社を通じて名義書換えの手続きをすることになります。
株式を相続した相続人は、株式発行会社に連絡して名義書換えの手続きをおこないますが、通常、この手続きは、会社が委託している株主名簿管理人(信託銀行や証券代行会社)の窓口にておこなう事になります。
その際は、名義書換えを代行している信託銀行や証券代行会社の所定用紙にて、相続人全員の同意書を用意します。
上場していない株式の名義書換え
上場していない会社(非上場会社)の株式の名義書換えは、それぞれの会社によって手続きが異なることもありますので、株式を発行している会社に直接問い合わせるなどしておこなうようにします。
株券を紛失した場合
株券発行会社の株券を紛失した場合には、発行会社に対してその株券についての株券喪失登録簿記載事項を株券喪失登録簿に記載または登録する事を請求し、その登録から1年後に株券が無効となった後に名義書換え請求をおこなう事になります。
遺族基礎年金の基本事項
遺族年金は大きく分けると、年金形態によって支給されるものが異なってきます。
国民年金から支給される遺族基礎年金、厚生年金から支給される遺族厚生年金、共済年金から支給される遺族共済年金と分かれています。
死亡者 | 対象の方 | 給付種類 |
---|---|---|
自営業 | 18歳未満の子のある妻 | 遺族基礎年金 |
子のない妻 | 死亡一時金 または 寡婦年金 | |
サラリーマン | 18歳未満の子のある妻 | 遺族基礎年金・遺族厚生年金 |
子のない妻(40歳未満) | 遺族厚生年金 | |
子のない妻(40~65歳) | 遺族厚生年金・中高年齢寡婦加算 | |
公務員 | 18歳未満の子のある妻 | 遺族基礎年金・遺族共済年金 |
子のない妻(40歳未満) | 遺族共済年金 | |
子のない妻(40~65歳) | 遺族共済年金・中高年齢寡婦加算 |
子供については18歳未満の場合に条件があります。
18歳到達年度の末日まで、もしくは20歳未満の障害者であること、婚姻していないことが条件となります。
もし、条件を満たした場合にはそれぞれの遺族年金の受給資格を失権してしまいます。
遺族基礎年金の受給要件
遺族基礎年金の受給要件としては、以下の条件を満たしていることが必要となります。
- 被保険者または老齢基礎年金の資格期間を満たした者が死亡したとき。(ただし、死亡した者について、保険料納付済期間(保険料免除期間を含む。)が加入期間の3分の2以上あること。)
遺族年金の対象となる方
遺族基礎年金の受給要件としては、以下の条件を満たしていることが必要となります。
死亡した者によって生計を維持されていた子のある妻または子。
子供が以下の条件の時に支給されます。
- 18歳到達年度の末日(3月31日)を経過していない子
- 20歳未満で障害年金の障害等級1級または2級の子
支給額
- 子供がいない場合 779,300円
- 子供が一人の場合 779,300円+22,430円
- 子供が二人の場合 779,300円+44,860円
- 子供が三人の場合 779,300円+44,860円+74,800円
- これ以上は子供一人につき、74,800円が支給されます
遺族厚生年金の受給要件
遺族厚生年金の受給要件としては、以下の条件を満たしていることが必要となります。
- 被保険者が死亡した時、もしくは、被保険者期間中の怪我や病気が原因で初診日から数えて5年以内に亡くなられた時。
ただし、遺族基礎年金と同じように死亡した方が、保険料納付済期間(保険料免除期間を含む)が国民年金加入期間の3分の2以上ある必要があります。 - 老齢厚生年金の資格期間を満たした方が亡くなられた場合
- 1級・2級の障害厚生年金を受けられる者が亡くなられた場合
受給の対象となる方
遺族厚生年金の受給要件としては、以下の条件を満たしていることが必要となります。
- 遺族基礎年金の支給の対象となる遺族(子のある妻,子)
- 子供のいない妻
- 55歳以上の夫、父母、祖父母(60歳から受給)
- 孫(18歳の誕生日の属する年度の年度末を経過していない者、20歳未満で1・2級の障害者)
支給額
平成15年3月までの賞与を入れない平均月収×7.125/1,000×平成15年3月までの働いた月数+平成15年4月から現在までの賞与を入れて総額を月数で割った金額×5.481/1,000×平成15年4月から現在までの働いた月数
この合計に3/4を乗じた額が支給額になります。