相続財産の確定
トラブルポイント2相続財産を確定する
- どこからどこまでが相続財産になるのか?
- 相続財産の評価方法はどうするのか?
- 債務(借金)がある場合はどうなるのか?
相続財産の範囲
遺産や相続財産と呼ばれるものは、お亡くなりになられた方が残された「権利と義務」の2つの事を表します。
つまり、遺産とは預貯金や不動産といった権利のプラスの財産だけではなく、借金や負債などの義務のマイナス財産も含まれているということです。
プラスの財産としては、不動産(土地、建物)不動産上の権利(借地権など)金融資産(預貯金、株式など)動産(自動車、宝石や貴金属、絵画など)になります。
中には特許権や著作権といった権利も含まれます。
マイナスの財産としては、借金(借入金、振出小切手、手形債務など)公租公課(未払いの所得税、住民税など)未払いの医療費などといった未払い費用などが含まれます。
また、受取人指定のある生命保険や、墓地、仏壇といった祭祀に関するもの等は遺産には該当しません。
相続財産の評価方法
相続財産の評価方法というのは、民法上、特に定めておりません。
一般的には、相続が開始された時(財産を保有していた方が亡くなった時点)の価額で計算されることとなります。
しかし、相続財産の評価はその評価の仕方によって相続税の評価額が変わったり、民法と税法で財産の対象とその評価の扱いが異なる場合があるなど、かなり専門的な判断を必要とされます。
財産をどのように相続するか
相続財産がプラスの財産かマイナスの財産かを調査して、その財産を受け継ぐか受け継がないかの選択をしていただきます。
相続の選択は以下の3つとなります
単純承認を選択する
相続財産のすべて(プラスの財産、マイナスの財産共に)を受け継ぐ選択です。
単純承認は特別の手続を必要とはせず、相続が開始した事を知った日から3ヶ月内に相続放棄も限定承認もしなかった場合に単純承認をしたものとみなされます。
相続放棄を選択する
相続財産のすべてを受け継がない選択で、これを相続放棄と呼びます。
マイナスの財産が多いときなどに選択されるものですが、ひとつ注意として相続が開始した事を知った日から3ヶ月以内に家庭裁判所に相続放棄の申立てをおこなわなければなりません。
限定承認を選択する
プラスの財産とマイナスの財産のどちらが多いか分からない場合に、マイナスの財産をプラスの財産の限度で弁済し、マイナスの財産が多かった場合でも、相続人が責任を負わないとするのが限定承認です。清算の結果、プラスの財産が多ければ、相続人に分配されます。
こちらも注意が必要で、限定承認をするには、相続の開始があった事を知った日から3ヶ月以内に家庭裁判所に限定承認の申立てをおこなわなければなりません。
なお、相続人が複数いらっしゃる場合(共同相続)には、相続人全員が限定承認の申立てをおこなわなければなりません。
相続人のうち1人でも反対する方がいらっしゃるとおこなう事は出来ません。
限定承認は、非常に合理的な制度ではありますが、手続きの面倒さと相続人全員でおこなわなければならない他、税務上の問題などもあり、現実にはあまり利用されていないようです。
相続の基本知識に関する詳しいコンテンツはこちら
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